SOL.NET TOP > SOL INTERVIEW > NO.030 笹野ゆかり 氏
バックナンバー
  • マット・フラネリー氏
  • 笹野ゆかり氏
  • 吉沢直大氏
  • 野中ともよ氏
  • 大久保秀夫氏
  • 宮治勇輔氏
  • 西本千尋氏
  • HotlipsPizza
  • greenz.jp
  • 脇坂真吏氏
  • 池本修悟氏
  • 上田壮一氏
  • 日谷潔氏
  • 内田雄司氏
  • 高橋がなり氏
  • 池田正昭氏
  • 松岡一久氏
  • 重永忠氏
  • 駒崎弘樹氏
  • 寺井元一氏
  • 新樂智夫氏
  • 佐藤岳利氏
  • 斉藤あや子氏
  • 出雲充氏
  • 嵯峨生馬氏
  • 下元敬道氏
  • 土屋有氏
  • 上田祐司氏
  • 関根健次氏
  • 長谷部健氏
  • 川田利典氏
笹野ゆかり氏
教育を通して子ども達に真の笑顔を。

野村ホールディングス株式会社
コーポレート・シティズンシップ推進室 笹野 ゆかり 氏

1977年、三重県生まれ。大阪市立大学法学部卒業後、日本電信電話株式会社に入社。

NTTコミュニケーションズにおいてCSR業務を担当した後、CSR推進室からの異動を機に野村ホールディン

グスに入社。コーポレート・シティズンシップ推進室において、野村證券をはじめとする野村グループ全

体のCSR活動を推進している。

-

- 学生時代はどのような活動をされていたのですか?

-

小学生の頃に、アフリカの飢饉のニュースをTVで見てとてもショックを受けました。それをきっかけに、

世界の色んな国を見てみたいとか、国際的な社会貢献活動をしたいという気持ちが強くなりました。

そこで、大学四年生の時に三ヶ月間かけてピースボートで地球一周旅行に行きました。

-

- ピースボートの地球一周で一番印象的だった経験はどのようなことでしたか?

-

印象に残った国が二つあり、その一つがキューバです。当時はキューバについての情報が全くなく、社会主義

の国がどんな国なのかイメージがつきませんでした。しかし実際に行ってみると、現地の人々がお金はないけ

れどとても楽しそうに過ごしていて、私にはとっても楽しい国だと感じられました。その2年後に、休暇を

とって10日間ほどまたキューバに行ったのですが、そうすると最初の訪問では見えなかった別の側面が見え

てきました。仕事がないからアメリカや日本へ亡命したいなどの相談を現地の人から受けることもあり、、、

それがとても印象深かったです。

-

もう一つの国は、アフリカのエリトリアという国です。当時エチオピアから独立してまだ数年しか経っていな

かったのですが、先進国に頼らずに法律やインフラを自分たちで作ろうとしていました。復興して初めて電車

を走らせる時に、私たちを最初に電車に乗せてくれて砂漠の真ん中を走りました。その時に子どもたちがすご

くうれしそうに追いかけてきてくれて、彼らより先に乗せてもらっていいのかなという思いと彼らのきらきら

した目がどこの国の子どもよりも輝いていたという印象がとても強く残っています。

-

しかしそういった面ばかりではなく、様々な国へ行って色々なモノを見ると、世界には課題が多すぎるという

ことを感じ大変ショックを受けました。そのため、自分には何にもできないのではないかという無力感をも感

じました。

大半の日本人はそんなことに興味を持たずに暮らしている現状があります。知らないことが一番罪だという考

え方もありますが、下手に知って良心の呵責を背負って生きていくよりは、知らずに普通に暮らした方がよい

のではないかとその時は思いました。

-

- ピースボートでの体験で感じた無力感を克服するために今、CSR担当者になられたという側面もあるので

- しょうか?

-

そうですね。何もしていないよりは、100%じゃなくても30%でもやれることをやっていた方が自分は納得

できるだろうなと思ったからです。

-

金融経済教育に力を入るCSR

- 以前の会社でもCSRの仕事をされていたそうですが、野村ホールディングスでもCSRの仕事をしようと

- 思ったのはなぜですか?

-

野村ホールディングスでは金融経済教育に力を入れているのですが、トップの強いコミットメントのもと多く

の経営資源をかけて行っているということが、入社当初は印象深かったです。

-

金融商品を扱う会社として、子どもの頃からちゃんとした金融・経済の知識を身につけておくことはもちろ

ん、大人にとっても経済の仕組みや金融、投資についての知識を持っていることは、豊かな生活を送るために

大切だという考えが、その根底にあります。例えば、当社では小学生向けに「街のけいざい教室」、中学生向

けに「街のTシャツ屋さん」という金融経済教育の学習教材を提供しています。いずれも、全国の小中学校か

らのリクエストにより無償で提供しているのですが、2006年に制作した「街のTシャツ屋さん」は、これま

で全国3,300校の中学校に約33万部、2008年に制作した「街のけいざい教室」は、これまで全国2,000校の

小学校に約17万部を寄贈しました。

-

その他、大学生、社会人に至るまで、年齢やライフステージに応じて様々な取り組みを行っており、大学では

金融教育講座を提供しているのですが、このことも入社するまで知らなかったので「ここまで力を入れて

やっているのか」と驚きました。ちなみに、私自身も講師として「企業とCSR」というテーマでお話させて

頂いています。

-

- CSRのお仕事をしている中で難しいと感じることは何ですか?

-

なにぶん時間がかかるということです。

CSRというものはCSR担当部署だけがやっていればいいものではなく、社員一人一人にその重要性を理解し

てもらう必要があり、それにはすごく時間がかかります。私は今、環境推進活動を担当していますが「電気を

こまめに消す」とか「両面印刷を心がける」といった社員一人一人の意識改革には地道な努力が必要ですね。

-

- それにはどういったアプローチをされているのでしょうか?

-

例えば、紙の削減には2007年度から取り組んでいますが、プリンターに両面印刷を推奨するポスターを貼っ

たり、イントラネットで呼びかけたりということから始めました。その他にエコキャップ運動を行っています

が、最初から全社で強制的に実施したわけではなく、やりたいと申し出た支店や部署からやってもらうように

しました。そうすると、参加部店がどんどん増えていき野村グループで毎月回収しているエコキャップはかな

りの量になっています。そうやって、社員の自主性を尊重しながら取組みを進めています。

-

- シブカサプロジェクトとも連携して環境イベントを実施されましたよね?

-

はい。社員だけではなく、社員のお子さんにも環境問題について知ってもらおうと、子ども向けの環境イベン

トを実施しました。シブカサプロジェクト代表の大塚さんを講師に迎えて日本におけるビニール傘の大量廃棄

の現状と、シブカサプロジェクトの活動についてお話してもらいました。二酸化炭素を出す原因のひとつであ

る身近なゴミ問題を解決しようと、子ども達が持参したビニール傘に絵を描き、世界にひとつだけのリサイク

ル傘を作ったのですが、一生懸命描いた絵の傘を大切そうに持って帰ったり「シブカサプロジェクトでたくさ

んの人に使ってほしい」と大塚さんに差し出したりと、物を大切にする心も自然と学ぶ事ができた様でした。

-

グローバルなCSR施策を作る

- 今後CSR活動を行うにあたってこうしていきたいなどの大きなビジョンはありますか?

-

昨年リーマン・ブラザーズのアジアとヨーロッパにおける人材を承継したことで、一気に8,000人の旧リーマ

ン社員が加わりました。これからはグローバル企業にふさわしい活動を実施していく必要があると思うので、

よりグローバルな社会課題に貢献できるCSR施策を作っていきたいです。

-

- ピースボートで体験した無力感を徐々に自身の力で解消して、30%の自分のやれることがどんどん大きく

- なってきているのですね。

-

そう言われるとそうなのかなと思うのですが、日々の業務の中では目の前のことに精一杯であまり実感できな

いですね(笑)でもやっていることに矛盾は感じていません。

-

- 企業で働く笹野さんにとって社会起業家はどう思われますか?

-

私の知り合いにも社会起業家と呼ばれる人がたくさんいるので、特別な存在というよりは身近なものに感じま

す。テレビや新聞で取り上げられることも多いので世間の認知度は高くなっていますが、ビジネスとして成り

立っているケースはまだ少ないですよね。しっかりとした経営基盤が確立されないと長続きしないと思うの

で、その点が打開できるといいなと思っています。

-

世界中の教育格差を解消したい!!

- 最後に一つ、笹野さん自身がこれからCSRとしてやってみたいことは何かありますか?

-

以前、児童労働撲滅のためのカンボジア・スタディツアーに参加して、現地の児童労働の現場を回ったことが

あります。児童労働の根底には貧困問題があるのですが、さらにその根底には教育問題があります。教育を受

けていないために低賃金の仕事にしか就けず、そうすると貧しいために自分の子どもにも児童労働をさせてし

まうという貧困の負のサイクルが続くことを実感しました。

このことからも分かるように、金融経済教育も含め教育は非常に大切だと思います。世界中の教育格差を解消

できるよう、子ども達が学べる場所作りや教材、人材面からの支援などを実施していけたらと思っています。

-

    

- 本日はお忙しい中、有難う御座いました。

-

 編集後記

-

「何もしていないよりは、100%じゃなくても30%でもやれることをやっていた方が自分は納得できるだろ

うなと思ったからです。」世界の様々な問題に対して自分には何も出来ないのではないかと考えるのではな

く、ちょっとしたことでも私自身が社会のために出来ることは実はたくさんあるのではないかと考えなおす

きっかけとなったインタビューでした。

-

-

野村ホールディングス株式会社 CSRページ URL : http://www.nomuraholdings.com/jp/csr/

シブカサとのCSR活動イベント URL : http://www.nomuraholdings.com/jp/csr/news/news14.html

-

このページの先頭へ

-