
カンボジア国際教育支援基金(CIESF) 理事長 大久保 秀夫 氏
大久保秀夫(おおくぼひでお/1954年生まれ)。カンボジア国際教育支援基金(CIESF)理事長。株式会社
フォーバルの創業者。日本の伝統的大企業・外資のフルコミッション型営業会社を経て、双方の問題点を体感
し、日本企業と外資企業の良いところを合わせた会 社を作ることを理念に創業を決意し企業。その後、電信
電話公社(現NTT)が独占していた電話機の市場に風穴を開け、史上最年少(1988年当時)で株式 上場。
2008年春、カンボジアでの教育の欠如が叫ばれる中、学校を作ること以上に「教師の育成」が重要だと考
え、カンボジア国際教育支援基金(CIESF)を 立ち上げた。
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- 学生時代はどんな学生でしたか?
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大学の最初の二年間はひたすらアルバイトに励んでいましたね。というのは、僕は高校受験の時に第一志望に
落ちた事が、苦いトラウマになっていましてね。それが影響して大学受験をほぼしない で、特待生として入
れる大学に進みました。生意気なことをいうと、遊んでいても学年一番がとれたりしたんですね。もともとあ
る意味では易きに流れてきた大学でもあって、高を括っていた部分がありました。
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そんな学生生活に、三年生の時に突然変異が起きたんです。ゼミを選択しているときに、司法試験ゼミ(OB)
と いうのを見つけたんですね。そこで、あれ、この学校からでも司法試験に受かる人がいるんだな、という
ことと、自分が法学部にいること、学年一番や二番をとってる自分なら可能性があるんじゃないか、というこ
とに気づいたんですね。猛烈に後悔しました、何故勉強してこなかったんだろうと。そして、そこからの二年
間は司法試験に向けて猛勉強しました。しかし司法試験は甘いものではなくて、僕は卒業して民間企業に行く
ことになるんです。というのも、僕は司法試験に向けて勉強を始める前に結婚しているんですね。その際に相
手のご両親に出された二つの条件が、受験は二年間までというものと、二年間受験してだめだったら民間に行
けというものだったんです。僕は司法試験がだめだったら自分の持っていた知識と武道がいきる警察官になろ
うと思っていたのですが、「キミのような人間が警察官になったら真っ先に死ぬだろうから駄目だ」と、彼女
の父親に反対されてしまいました。
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「世のため人のために生きる」
- では、学生のころから起業しよう、などと考えていなかったのですか?
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全くですね。僕はほとんど嫌々、といった感じで民間に行きましたので、企業に入ってからも言いたい事はす
べて言っていましたね。出世のことなどは考えていませんでしたので、タイムカードの 時間が曖昧なことに
ついて会社の人事に訴えたり、机の配置を勝手に換えたりなど、おかしいと思ったことは誰にも臆せず実行す
る生意気な新入社員でした。
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僕のそういった行動には幼少期に遭った交通事故が大きく影響しているんです。どこの病院にいってももう手
の施しようがない、というところから奇跡的に生き延びた。ちなみに、それが僕のマ スコミデビューなんで
すが。(笑) その後母親に言われた、「あなたの命は神様がもう一度くれたものなのだから、これからはその
命を世のため人のために思いっきりつかいなさい。」という言葉は強く印象に残っています。幼少期から、僕
は一度死んでいる、人は何時死んだっておかしくないんだ、という死生観を持っていました。それが、僕が損
得で考えない、何にも臆さない理由だと思います。また、そういった「世のため人のために生きる」という考
えから、僕は自分の企業を設立し、CIESFも立ち上げました。
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- 事業を始める上で、大切にされている点はなんですか?
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僕は、普通の経営者とちょっと違った視点から事業を見るんです。どういうことかというと、第一に社会性は
あるのか、というところを見るんですね。社会性がないものには一切手を出さない。次 に、それは誰もやっ
ていないことなのか、僕がやるべきことなのかを考えます。そして、最後にそれに収益性があるのかを考えま
すね。そういった理由から、過去にやっていた事業も、日本でトップに達したときに、すっぱりとやめまし
た。もうその事業に社会性を感じられなくなり、また僕がやるべきことでもなくなっ たと考えたからなんで
すね。僕の会社の社員は全員が社会に貢献しているという自負を持っていると思いますよ。
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国境なき教師団をカンボジアに送り込むこと
- 財団法人CIESFを立ち上げるに至った経緯を教えて頂けますか?
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ありがたい事に今まで長い間、フォーバルを経営して来る事ができました。私個人としても、社長として28
年間やってくる事ができました。だからこそ、例えお金としての利益を得ることが 出来なくても、もっと今
まで以上に社会に対して恩を返していかなければいけません。そんな想いを長い間抱いていたところ、人との
縁もあって、カンボジアに出会い、CIESFを始めることになりました。カンボジアなどに学校を作るプロジェ
クトは多くありましたが、中身の教師を育てるものはなかった。だったら教師を育成すれば、日本から送り込
めばいいじゃないかと。カンボジアの、中卒や小卒の教師が多くいる現状をどうにかできないかと考えたので
すね。まさに、社会性があり、誰もやっていないことだった。それから、国境なき医師団のように、国境なき
教師団をカンボジアに送り込むことやあちらの教授を招いたりといったことと、行政へのアプローチ、そして
その後の就職整備などの三点を将来しっかり改良できるよう活動しています。
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また、カンボジアで教育の成功例を作り、それが気づきの場となって、今の日本の受験に偏った教育制度が変
わっていくきっかけになっていったらという理想もあります。
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- 今後のCIESFの展望などを教えていただけますか?
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既存の支援には単発のものが多く、 継続性がないと思います。現地で一緒に汗をかきながら、一緒にものを
つくりあげていかないと本当にいいものは作り上げられない。教育者を送り込むなど、現地での継続的かつ発
展的な活動をしていきたいと考えています。具体的には、2009年の秋にはこちらからの第一陣を送り込む
と同時に、経営大学院や教育大学院の創立に向けて行政面でのアプローチをかけていこうと思っています。
難しいことではありますが、学生などの若い力を中心に、自由に、かつ焦らず慎重に やっていきたいと考え
ています。また、CIESFは非営利団体ですが、それを通じて、若い社会起業家を育て、社会に送り出したいで
すね。
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日本での活動の中では、夢の輪プロジェクト(*1)というものを参加者全員が主役となって実感できるようなも
のにしつつ推し進めていきたいと考えています。みんなが幸せで、豊かな子供の育つ世界を創りたいですね。
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(*1)夢の輪プロジェクトについて
国境なき医師団ならぬ「国境なき教師団」をキーワードに掲げたCIESF内プロジェクト。東京本部を中心に教
師と教育に興味のある学生と一緒にカンボジアに教師を派遣する。現在、島根県と宮城県に支部設立が進行中
で、今年中に全国に支部を作ることが目標。現在、全国からの教師を募集中!また、CIESF評議員には元国境
なき医師団代表の寺田朗子さんも在籍。
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やっていることに誇りを持てる事
- 昨今社会起業という単語をよく聞くようになりましたが、こういった風潮についてどう思いますか?
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とてもいい流れだと思います。近年、アメリカでも就職人気ランキングに大企業でなくソーシャルベンチャー
が入ってきたりと、その企業がどこに向かっているのか、この企業にいて自分は満足出来るのか、といった心
の満足を学生が求め始めるというのは、すばらしいことですよね。
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ただ、こういった企業には苦労が絶えないと思います。私も、誰もしたことがない事業を行ってきたので、苦
労が絶えませんでした。しかし、苦労してでも正しいと思ったことをずっと続けていると、社員が残るんです
ね。僕の社員になぜこの会社にいてくれるのかを聞きますと、『他の何よりも自分達にとって大切なのは、
やっていることに誇りを持てる事なんですよ』と言ってくれる。世の中に、誇りを持てる仕事である社会起業
が増えている流れは非常にいいですね。
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- 最後に、社会起業を志す者にメッセージをお願いします。
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死生観を持って欲しいです。もし明日死ぬなら、今の選択を変えられるのではないでしょうか。自分の存在を
少しでも残すことが出来るのは、「ありがとう」と言って貰える仕事ではないでしょうか。社会にありがと
う、と言って貰えるような仕事をやるのが社会起業家だと私は思うし、皆にそれをやって欲しいですね。
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- 本日はお忙しい中、有難う御座いました。
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編集後記
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ベンチャー経営者を代表する存在の大久保氏。緊張していた私達を、暖かい雰囲気で リラックスさせて下さ
いました。言葉の端々から、『強さ』『優しさ』『誠実さ』がとても伝わってきて、インタビューが終わる頃
には完全にファンになっていました。笑 CIESFでは、学生インターンも随時募集中だそうですので、興味の
ある方は是非コンタクトを取ってみてください!!
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『カンボジア国際教育支援基金(CIESF)』 URL : http://www.ciesf.org/
『株式会社フォーバル』 URL : http://www.forval.co.jp/
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